地震保険の掛け金の目安は?構造・地域別の相場と節約術を解説

この記事では、その金額がなぜ変わるのか、賃貸と持ち家で考え方がどう違うのか、そして掛け金を抑える割引や控除まで、自分の家計に当てはめて確認できるようにまとめました。
私はFP実務歴12年、火災保険・地震保険の見積もり比較を実際に自分で試して検証しています。パンフレットの建前ではなく、契約事例ベースの目線で書きます。
地震保険の掛け金の目安をまず結論から

まず数字から。地震保険の年間保険料(掛け金)は、建物の所在地・構造・保険金額・耐震等級で決まります。木造で保険金額1,000万円の場合、約1万1,600円〜4万1,100円が相場です(割引なし)。
地震保険とは何か(わかりやすい定義)
地震保険は、地震・噴火・それによる津波で建物や家財が壊れたときに保険金が出る保険です。火災保険だけでは地震が原因の損害は補償されません。ここを勘違いしている人が多い。
特徴は、国(政府)が再保険でバックについていること。1回の地震で支払われる保険金の総額には限度があり、その上限は12兆円です(2025年8月時点)。だから民間だけより支払いの安心感があります。
掛け金の目安はいくらか
財務省の2022年10月改定後の基本料率をもとにすると、保険金額1,000万円あたりの年間保険料(割引なし)はこうなります。
| 地域・構造 | 年間保険料 |
|---|---|
| イ構造(宮城・福島・大阪など) | 11,600円 |
| ロ構造(宮城・福島・大阪など) | 19,500円 |
| ロ構造(茨城・高知) | 41,100円 |
| ロ構造(埼玉) | 41,100円 |
| ロ構造(東京・神奈川・静岡) | 41,100円 |
同じ木造でも、大阪と東京で2倍以上違う。これが地震保険の掛け金のクセです。
掛け金が決まる3つの要素
ざっくり言えば、掛け金は「どこに・どんな建物で・いくら補償をかけるか」で決まります。さらに耐震等級の割引が乗る。優先順位はこの通り。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 所在地(都道府県) | 地震リスクの高い地域ほど高い |
| 構造 | 木造(ロ構造)は鉄骨・コンクリート(イ構造)より高い |
| 保険金額 | 火災保険金額の30〜50%の範囲で設定 |
| 耐震等級割引 | 等級に応じて10〜50%割引 |
掛け金の目安を左右する具体的な条件
ここからは、自分の家に当てはめるための条件を一つずつ見ていきます。マンションと戸建てで、ここまで変わるのかと驚く人も多いはずです。

建物の構造による違い(マンションと戸建て)
地震保険では建物を2つに分けます。鉄骨・コンクリート造のイ構造、木造のロ構造です。マンションの多くはイ構造、木造戸建てはロ構造になります。
同じ地域・同じ保険金額1,000万円でも、宮城や大阪ならイ構造11,600円に対しロ構造19,500円。木造のほうが揺れに弱いとみなされ、掛け金は高くなります。
都道府県別の掛け金の違い
地域差は本当に大きい。木造(ロ構造)・保険金額1,000万円で見ると、最も高い地域は最安地域の2倍を超えます。
| 都道府県 | 年間保険料 |
|---|---|
| 宮城・福島・大阪 | 19,500円 |
| 埼玉 | 41,100円 |
| 茨城・高知 | 41,100円 |
| 東京・神奈川・静岡 | 41,100円 |
正直に言うと、東京・神奈川・静岡あたりの木造に住む人は、掛け金が高い前提で家計を組んだほうがいい。それでも私は加入を勧めます。理由は後で書きます。
保険金額の設定(建物と家財)
地震保険の保険金額は自由に決められません。火災保険金額の30〜50%の範囲内、と決まっています。上限は建物5,000万円、家財1,000万円です。
建物だけかけて家財を忘れる人がいますが、これはもったいない。家具・家電・衣類が全部ダメになったときに効くのは家財の補償です。両方かけるのが基本だと私は考えています。
| 対象 | 保険金額 | 年間保険料 |
|---|---|---|
| 建物 | 900万〜1,500万円 | 17,370円〜28,950円 |
| 家財 | 300万〜500万円 | 5,790円〜9,650円 |
契約期間(1年契約と5年契約)による違い
地震保険は最長5年でまとめて契約でき、長くするほど割安です。1年あたりの保険料に「長期係数」を掛けて計算します。
| 契約年数 | 長期係数 |
|---|---|
| 2年 | 1.90 |
| 3年 | 2.85 |
| 4年 | 3.75 |
| 5年 | 4.70 |
5年契約なら係数は4.70。単純計算で1年分弱が浮く計算です。家計に余裕があるなら、私は5年一括を勧めています。
年収・予算別の掛け金シミュレーション
ここが他のサイトで意外と薄い部分。実際の家計に落とし込んだ目安を出します。賃貸と持ち家では、そもそも考え方が違います。

賃貸住宅に住む人の掛け金の目安
賃貸の人は、建物のオーナーが火災保険をかけているので、自分でかけるのは家財だけです。家財の保険金額300万〜500万円なら、年間5,790円〜9,650円が目安。
月にすると約500〜800円。正直、これは外さないほうがいい水準です。地震で家具家電が全滅したときの再購入費を考えれば、十分に元が取れます。
持ち家(戸建て)の掛け金の目安
木造戸建てで建物1,000万円分をかけるなら、宮城・大阪などで年19,500円、東京・静岡などで年41,100円。家財500万円分を足すと、ここに9,650円前後が上乗せされます。
チューリッヒの試算では、東京の木造建物・保険金額1,500万円・建築年割引・5年一括払いで地震保険料が260,850円(年あたり約52,170円)という例もあります。立地と保険金額しだいで、ここまで上がります。
家計に占める負担割合の考え方
私が相談で使う目安はシンプルです。地震保険は「保険料の安さ」で選ぶものではなく、被災後の生活再建費を肩代わりさせる保険だと割り切ること。
年4万円台の掛け金は重く感じるかもしれません。でも全損なら保険金額の100%が出る。月3,000〜4,000円で住まいの再建資金が確保できると考えれば、家計に組み込む価値はあります。
掛け金を抑える具体的な方法

掛け金は工夫で確実に下げられます。割引・まとめ払い・控除の3つ。実際に効くものだけを挙げます。
地震保険の割引制度を使う
一番効くのは耐震等級割引です。新しい家ほど割引率が大きい。新築・準新築なら必ず証明書を用意してください。
| 割引の種類 | 割引率 |
|---|---|
| 耐震等級3 | 50% |
| 耐震等級2 | 30% |
| 耐震等級1 | 10% |
| 耐震診断割引 | 10% |
耐震等級3なら掛け金が半額。東京の木造で年41,100円が、約20,550円まで下がる計算です。割引の併用はできないので、最も率の高いものを使います。
まとめて払うほど割安になる仕組み
前述の長期係数がここで効きます。5年一括なら係数4.70。1年ごとに5回払うより、約0.3年分が安くなる勘定です。
ただし一括は初回の出費が大きい。家計の現金余力と相談してください。私は余力があれば5年、なければ無理せず1年更新でいいと伝えています。
地震保険料控除による節税効果
見落とされがちなのが地震保険料控除です。払った保険料は所得控除の対象になり、所得税・住民税が軽くなります。実質負担はその分だけ下がる。
控除は年末調整か確定申告で手続きします。保険会社から届く控除証明書を捨てないこと。これだけで毎年の実質コストが変わります。
地震保険に入るべきか不要かの判断基準
掛け金が高いだけで保険金が出ないのでは、という不安はよく聞きます。判断材料を正直に並べます。

地震大国・日本の被災リスク
日本で地震リスクをゼロにできる地域はありません。だからこそ国が再保険で支え、1回の地震の支払限度を12兆円という規模で備えています。
火災保険では地震による火災・倒壊は補償されない。ここが盲点です。地震に備えるなら、地震保険以外に正攻法はないと私は考えています。
補償内容と保険金の支払い条件
地震保険は損害の程度を4段階に区分し、その割合で保険金が出ます。修理の実費精算ではなく、区分判定方式です。
| 損害区分 | 支払われる割合 |
|---|---|
| 全損 | 地震保険金額の100% |
| 大半損 | 60% |
| 小半損 | 30% |
| 一部損 | 5% |
| 一部損未満 | 支払いなし |
ここは正直に言います。一部損未満だと出ません。掛け金に対して必ず元が取れる保険ではない。それでも、全損・大半損の打撃を肩代わりしてくれる点に価値があります。
共済・特約・少額短期保険との掛け金比較
地震に備える手段は地震保険だけではありません。共済の地震特約や少額短期保険もあります。考え方の違いを整理します。
| 手段 | 特徴 |
|---|---|
| 地震保険 | 火災保険とセット。国が再保険で支える。保険金額は火災保険の30〜50% |
| 共済の地震特約 | 掛金が割安な傾向。補償額・支払条件は商品ごとに差がある |
| 少額短期保険 | 加入しやすいが補償額の上限が小さい |
私の立場をはっきり書きます。持ち家の生活再建を本気で守りたいなら、まず地震保険。共済や少短は、補償額の上限や支払条件をよく確認したうえで補完に使う、という順番です。
実際の支払い事例と請求の流れ
いざ被災したときどう動くか。ここを知らないと、せっかくの保険が使えません。損害区分と請求手順を具体的に押さえます。

損害区分ごとの支払われる割合
前述の通り、全損なら保険金額の100%、大半損60%、小半損30%、一部損5%。たとえば建物の保険金額が1,000万円で大半損と判定されれば、600万円が支払われます。
この600万円は使い道を問われません。修理でも建て替え資金の一部でも自由。生活再建の元手になります。
保険金を請求する手順
流れはシンプルです。地震が起きたら、まず保険会社か代理店へ連絡。その後、調査員が損害を確認し、区分が決まって保険金が支払われます。
私が現場で伝えているのは、片付ける前に被害状況をスマホで撮っておくこと。写真があると調査がスムーズです。これは経験上、効きます。
保険金が支払われないケース
出ないケースもはっきりしています。損害が一部損未満のとき。地震の発生から10日を超えて生じた損害や、紛失・盗難なども対象外です。
だからこそ、被災したら早めに連絡・記録。後回しにすると不利になります。
掛け金の改定・値上げと将来の見通し

地震保険料は固定ではありません。過去にも改定されてきました。今後の負担をどう考えるかまで触れておきます。
これまでの保険料改定の動き
直近では令和4年(2022年)10月1日に基本料率が改定されました。この記事の数字は、その改定後の料率に基づいています。
地震リスクの評価が見直されるたびに、料率は上下します。地域によっては下がった所もある。一律に上がり続けるわけではありません。
今後の負担をどう考えるか
将来の改定を完全に読むことはできません。私の考えは、長期係数を使える今のうちに5年契約で料率を固定しておくのも一手、というものです。
値上げを恐れて加入を先延ばしにするより、必要なら早く入る。被災はこちらの都合を待ってくれません。
地震保険の掛け金に関するよくある質問
相談でよく受ける質問を、数字つきで簡潔に答えます。

よくある質問
最後に一言。掛け金の高さだけで判断しないでください。まずは自宅の所在地・構造・保険金額で見積もりを取り、耐震等級割引が使えるか確認する。そこから始めるのが、一番損のない進め方です。
