火災保険・地震保険について、制度の正確な解説と実務(費用・流れ・依頼先)を一次情報にあたって整理するメディア。
NEW 火災保険・地震保険ナビ
ホーム › 補償内容と必要性の判断 › 地震保険の補償範囲とは?対象・対象外と保険金の決まり方を解説
補償内容と必要性の判断

地震保険の補償範囲とは?対象・対象外と保険金の決まり方を解説

中村 敦子 / 更新:2026-06-24
地震保険の補償範囲とは?対象・対象外と保険金の決まり方を解説
地震保険に入っているのに、いざ被災したら「これは対象外」と言われた——相談現場で何度も耳にした失敗です。結論から言うと、地震保険の補償範囲は「地震・噴火・津波」を原因とする、居住用建物と家財の損害に限られます。自動車や現金は対象外です。

この記事では、何が補償されて何が補償されないのか、その境界線を具体例で示します。さらに、損害の程度ごとに受け取れる保険金の決まり方、マンションや賃貸での違いまで整理します。

私はFPとして12年、住宅購入と保険の相談を受けてきました。パンフレットを読むだけでは見落としやすい点を、実務目線で書きます。

地震保険の補償範囲とは?まず押さえる基本

【大震災でも一部損?】地震保険は必要なのか?保険の仕組みを分かりやすく解説【リベ大公式切り抜き】
【大震災でも一部損?】地震保険は必要なのか?保険の仕組みを分かりやすく解説【リベ大公式切り抜き】

地震保険の補償範囲とは、地震・噴火・これらによる津波を原因として、火災・損壊・埋没・流失などが起きたときに、居住用建物と家財に生じた損害を補償する範囲のことです。財務省も補償原因と対象をこのように説明しています。

地震保険で補償される損害の定義

補償される損害は「地震・噴火・津波」を直接または間接の原因とするものです。具体的には、火災・損壊・埋没・流失の4つが対象になります。

ここで大事なのは「地震が原因かどうか」。同じ火災でも、原因が地震なら火災保険ではなく地震保険の領域です。ここを誤解している人が本当に多い。

補償の対象になる建物と家財一式

対象は「居住用の建物」と、その建物に収容されている「家財一式」です。店舗や事務所だけの建物は対象外で、住まいに使われている建物であることが条件になります。

家財はタンスやテレビ、衣類など日常の動産をまとめて指します。ただし、すべての動産が含まれるわけではありません。後述する対象外の動産に注意してください。

火災保険だけではカバーできない理由

火災保険は、地震・噴火・津波を原因とする損害を補償しません。だから火災保険に地震保険をセットしないと、地震による火災や倒壊は無保険になります。

地震保険は「地震保険に関する法律」に基づく公的な制度で、補償内容や保険料はどの保険会社でも同じです。どこで入っても中身は変わりません。

地震保険で補償される損害・補償されない損害の境界線

ここが一番つまずく部分です。補償原因は「地震・噴火・津波」。これらが原因の火災・損壊・埋没・流失は対象、それ以外は対象外。シンプルですが、現実のケースに当てはめると判断に迷います。

地震保険で補償される損害・補償されない損害の境界線

地震が原因の火災・倒壊・埋没のケース

地震の揺れで建物が倒壊した、地震が引き金で火災が広がった、地震で土砂に埋まった——これらは地震保険の対象です。

逆に、地震と無関係の漏電火災は火災保険の世界。原因をたどると地震に行き着くかどうかが分かれ目になります。

津波・噴火・液状化はどう扱われる?

津波による流失も、地震保険の補償範囲です。地震や噴火による津波が補償原因に明記されているからです。噴火による損害も同じく対象になります。

液状化は誤解が多い論点です。地震を原因とする地盤の液状化で建物が傾いたり沈んだりした場合、建物の損害として認定の対象になります。ただし損害の程度で判定されるため、傾きが基準に届かないと支払われないこともあります。

補償対象外になる動産(自動車・現金・貴金属など)

家財が対象とはいえ、何でも入るわけではありません。複数の保険会社の公式情報で、次のものは対象外と説明されています。

地震保険の対象外になる主な動産
分類具体例
自動車自家用車・バイクなど(車両保険の地震特約で備える)
現金・有価証券現金、預貯金証書、株券、小切手など
高額な貴金属等1個または1組30万円超の貴金属・宝石・美術品・骨董

特に自動車は盲点です。「家財に入っているだろう」と思い込んでいる方が多いのですが、地震保険ではカバーされません。

損害の程度と受け取れる保険金の決まり方

地震保険は「損害の大きさ」で4段階に分け、その区分ごとに決まった割合で支払う仕組みです。実際の修理費を1円単位で精算するわけではありません。

損害の程度と受け取れる保険金の決まり方

全損・大半損・小半損・一部損の認定基準

支払区分は全損・大半損・小半損・一部損の4つ。支払割合はそれぞれ100%・60%・30%・5%です。一部損に至らない軽微な損害は、保険金が支払われません。

地震保険の支払区分と支払割合
割合は地震保険金額に対するもの。
区分支払割合建物の主な認定の目安
全損100%主要構造部の損害が時価額の50%以上、または焼失・流失が延床面積の70%以上
大半損60%全損と小半損の中間の損害
小半損30%大半損と一部損の中間の損害
一部損5%一部損の基準に達した損害

家財の全損は、損害額が家財全体の時価額の80%以上で認定されます。建物と家財は別々に判定される点も押さえておいてください。

建物・家財の評価額別シミュレーション

地震保険金額は、火災保険金額の30%~50%の範囲で設定します。上限は建物5,000万円、家財1,000万円。この前提で試算してみます。

地震保険金額と支払区分別の受取額の試算例
火災保険金額に対し地震保険金額を50%で設定した場合の試算。実際の認定で変わる。
火災保険金額地震保険金額(50%)全損(100%)大半損(60%)小半損(30%)一部損(5%)
建物2,000万円1,000万円1,000万円600万円300万円50万円
建物3,000万円1,500万円1,500万円900万円450万円75万円
家財500万円250万円250万円150万円75万円12.5万円

こうして並べると分かりますが、一部損だと受取額はかなり小さくなります。「入っていれば全額もらえる」というイメージとの差は、ここで生まれます。

再建費用全額は出ないという誤解への注意

正直に言うと、ここが一番伝えたい点です。地震保険は火災保険金額の最大50%までしか設定できません。つまり満額でも、家を建て直す費用の全額はまかなえません。

これは欠陥ではなく、制度の目的が「被災者の生活の安定」にあるためです。再建そのものではなく、生活再建の足がかりを支える設計だと理解しておくと、後悔が減ります。

住まいのタイプ別に見る補償範囲の違い

第63回 地震保険は必要か?【お金の勉強 初級編】
第63回 地震保険は必要か?【お金の勉強 初級編】

同じ地震保険でも、マンションか戸建てか、持ち家か賃貸かで「自分が何に保険をかけるべきか」が変わります。対象は居住用建物と家財という原則は共通ですが、誰のどの部分かが違います。

マンションの専有部分と共用部分

分譲マンションでは、自分の部屋(専有部分)と、エントランスや廊下など全員で使う共用部分が分かれます。専有部分の建物と家財は自分で地震保険をかけます。

共用部分は管理組合がまとめて火災保険・地震保険をかけるのが一般的です。個人が二重に建物全体へかける必要はありません。自分の契約がどこまでをカバーしているか、管理組合の保険と合わせて確認してください。

賃貸物件での借家人と大家の考え方

賃貸では建物は大家のもの。借りている人が建物に地震保険をかけることはできません。借家人がかけるのは「家財」の地震保険です。

私が相談を受けるとき、賃貸の方には『建物は大家、あなたは家財』と一言で説明します。これだけで誤解がかなり減ります。

世帯構成・住居タイプ別の選び方ガイド

必要な補償は世帯によって違います。下の整理を出発点にしてください。

住まい・世帯別 地震保険の考え方
タイプかける対象検討のポイント
戸建て持ち家(家族世帯)建物+家財建て直し費用とのギャップを上乗せ特約で補うか検討
分譲マンション専有部分の建物+家財共用部分は管理組合の保険を確認
賃貸(単身)家財家財の評価額を見積もり、過大設定を避ける
賃貸(家族)家財子ども・家電が増える分、家財額を見直す

家財額は実際の持ち物より大きく設定しても、損害認定は実態で判断されます。背伸びした金額より、現実に近い額で組むほうが無駄がありません。

地震発生から保険金を受け取るまでの流れ

いざ被災すると、何から動けばいいか分からなくなります。流れを先に知っておくと、損害判定までスムーズです。支払区分は前述のとおり4段階で、その認定のために調査が入ります。

地震発生から保険金を受け取るまでの流れ

事故連絡から損害認定までの手順

おおまかな流れはこうです。保険会社へ連絡、損害状況の確認(鑑定・立会い)、支払区分の認定、保険金の支払い。連絡が早いほど、その後も早く進みます。

片付けたい気持ちは分かりますが、認定前に被害箇所をすべて修理・撤去すると損害の確認が難しくなります。先に写真を残してください。

損害判定の基準と立会いのポイント

判定は「時価額に対する損害の割合」で決まります。建物なら主要構造部の損害が時価額の50%以上で全損、といった基準です。感覚ではなく数値で線引きされます。

立会いでは、傾き・ひび・浸水の跡など、地震が原因と分かる箇所を漏れなく伝えるのがコツ。複数箇所を撮った日付入りの写真が役立ちます。

請求時に用意しておく書類

必要書類は保険会社の案内に従いますが、共通して役立つのは次のものです。

保険金請求で準備しておくと良いもの
項目内容
契約内容が分かるもの証券番号や契約者情報
被害の証拠日付入りの被害写真(複数アングル)
身元・口座情報本人確認書類、受取口座
状況メモ発生日時・被害の経緯の記録

被害写真は、認定の精度にも支払いの早さにも効きます。撮りすぎて困ることはありません。

過去の災害に学ぶ実際の補償事例と上乗せ特約

地震保険は実際に大規模災害で機能してきた制度です。制度全体の総支払限度額は12兆円規模で、財務省資料では現在11兆5,553億円と説明されています。

過去の災害に学ぶ実際の補償事例と上乗せ特約

東日本大震災・熊本地震での支払い事例

東日本大震災や熊本地震では、津波による流失や住宅の倒壊に対し、地震保険が広く支払われました。津波被害が地震保険の対象であることが、現実の支払いで示されたといえます。

一方で「思ったより少なかった」という声もありました。これは制度が再建費用の全額ではなく、生活再建の支えを目的にしているためです。

補償を厚くする地震危険等上乗せ補償特約

火災保険金額の50%という上限を物足りなく感じる場合、保険会社によっては「地震危険等上乗せ補償特約」を用意しています。これを付けると、地震保険と合わせて最大100%相当まで補償を厚くできる商品があります。

地震保険本体はどの会社でも同じですが、こうした上乗せ特約は会社ごとに有無や条件が異なります。建て直し費用のギャップが心配なら、特約の取り扱いで会社を比較する価値があります。

補償範囲で後悔しないための注意喚起

私が相談で何度も見てきた誤解を、最後にまとめておきます。再建費用は全額出ない。自動車・現金は対象外。一部損未満は支払いなし。この3つだけでも知っておくと、ギャップで損をしません。

地震保険を勧めるかと聞かれたら、私はかけておくべきだと答えます。全額は出なくても、生活を立て直す現金が手元に入る意味は大きいからです。

地震保険の補償範囲に関するよくある質問(FAQ)

【完全攻略】後悔しない火災保険の選び方|補償はどこまで必要?地震保険は?戸建てのおすすめは?【最新版】
【完全攻略】後悔しない火災保険の選び方|補償はどこまで必要?地震保険は?戸建てのおすすめは?【最新版】

相談現場でよく受ける質問を、出典つきでまとめます。補償原因と対象、保険料、加入の手順の順に答えます。

よくある質問

地震保険の補償範囲とは何ですか?
地震・噴火・これらによる津波を原因とする火災・損壊・埋没・流失などで、居住用建物と家財に生じた損害が対象です。自動車や現金、1個30万円超の貴金属などは対象外です。
費用や保険料の目安はどれくらい?
地震保険金額は火災保険金額の30%~50%の範囲で設定し、上限は建物5,000万円・家財1,000万円です。保険料や補償内容は法律に基づく制度のため、どの保険会社でも同じです。
地震保険の始め方・加入の相談先は?
地震保険は単独では入れず、火災保険にセットして契約します。新規加入や見直しは、火災保険の取扱い窓口や一括見積もりサービスで相談できます。建て直し費用のギャップが心配なら、上乗せ特約の有無も合わせて確認してください。

まず自分の証券を開き、地震保険が付いているか、建物・家財いくらで設定しているかを確認してみてください。そこが見直しの第一歩です。

この記事について質問できますAIが記事をもとに答えます
こんにちは。この記事について、下の候補から選ぶか、自由に質問できます。

中村 敦子

ファイナンシャルプランナー(AFP) ・ 住宅購入・保険相談の独立系FPとして10年以上の実務経験

FPとして住宅購入相談を数多く受けてきた経験から、火災保険・地震保険の見積もり比較や保険料の仕組みを実務目線で解説します。保険会社のパンフレットだけでなく、実際の契約事例や一括見積もりサービスを自ら試して情報を検証しています。

メルマガ登録

中村 敦子
中村 敦子
FPとして住宅購入相談を数多く受けてきた経験から、火災保険・地震保険の見積もり比較や保険料の仕組みを実務目線で解説します。保険会社のパンフレットだけでなく、実際の契約事例や一括見積

記事には書ききれない現場のリアルや最新の動きを、わたしから直接メルマガでお届けします。よかったら登録してください。

登録は無料・いつでも解除できます。