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火災保険・地震保険の基本と違い

火災保険と地震保険の違いと選び方を徹底解説|補償・費用・手続き

中村 敦子 / 更新:2026-06-24
火災保険と地震保険の違いと選び方を徹底解説|補償・費用・手続き
火災保険に入っているから地震も大丈夫、と思っていたら大違い。地震が原因の火災や津波は、火災保険では1円も出ません。

結論を先に言うと、地震の損害に備えるには火災保険に「地震保険」をセットする必要があります。しかも地震保険は単独では契約できません。

この記事では、両者の補償の違い、保険料の決まり方、いくらかければいいか、請求でつまずく注意点までを実務目線でまとめます。FPとして住宅購入相談を受けてきた中で、見落としやすい落とし穴を中心に解説します。

火災保険と地震保険とは?基本の仕組みをわかりやすく解説

【地震保険】火災保険とセットで加入?地震保険の5つの特徴について解説!
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まず押さえてほしいのは、この2つはカバーする原因が違うということ。火災保険は火事や台風など、地震保険は地震・噴火・津波を原因とする損害を扱います。

そして地震保険は、国の制度として運営されている特別な保険です。地震保険は政府と民間の損害保険会社が共同で運営し、政府が再保険する仕組みになっています。

火災保険が補償する損害の範囲

火災保険は名前こそ「火災」ですが、対象はもっと広い。火事だけでなく、落雷、破裂・爆発、風災、ひょう災、雪災、水災などをカバーします。

ただし、ここが肝心。地震・噴火・津波を原因とする損害は火災保険では補償されません。地震が原因の火災や、地震による延焼・拡大した損害も対象外です。

地震保険が補償する損害の範囲

地震保険が補うのは、地震・噴火・津波を原因とする火災、損壊、埋没、流失です。

対象は居住用の建物と家財。マンションの共用部分も含まれます。逆に言えば、店舗専用の建物や事業用の建物は、地震保険の対象になりません。

火災保険と地震保険の違いを一覧で比較

言葉で説明するよりも、並べて見たほうが早いので表にしました。

火災保険と地震保険の主な違い
項目火災保険地震保険
主な対象原因火災・落雷・風災・水災など地震・噴火・津波
地震が原因の損害対象外対象
単独契約できるできない(火災保険に付帯)
運営民間の損害保険会社政府と民間が共同運営
補償の対象建物・家財居住用の建物・家財
保険料・補償内容会社ごとに異なるどの会社でも同じ

地震保険は補償内容も保険料も、どの保険会社で入っても同じです。だから地震保険そのものは会社で比べる意味がありません。比べるべきは付帯する火災保険のほうです。

地震保険は単独で入れない理由

地震保険は単独では加入できず、火災保険に付帯して契約します。これは制度として決まっていること。

地震保険制度は「地震保険に関する法律」に基づいて、被災者の生活の安定に寄与することを目的に作られています。だから民間だけで引き受けるのではなく、政府が後ろ盾になっているわけです。

安心してほしいのは、すでに火災保険に入っている場合でも、契約期間の途中から地震保険を追加できる点。今からでも遅くありません。

火災保険と地震保険の補償内容と対象

次に「何にいくらかけるか」を考える前提として、補償の対象を整理します。建物と家財は別物として扱われる、ここが多くの人がつまずくポイントです。

火災保険と地震保険の補償内容と対象

建物と家財それぞれの補償の考え方

建物と家財は、それぞれ別に保険をかけます。建物だけ契約して家財を外していると、家具や家電が壊れても出ません。

地震保険の保険金額には上限があり、建物は5,000万円、家財は1,000万円までです。

私が相談で必ず聞くのは「家財の補償、入れてますか?」という一言。建物だけで満足している人が本当に多いんです。

水災・風災など自然災害ごとの補償の違い

火災保険は、補償する災害を選べる商品が増えています。台風被害が多い地域なら風災、川や低地の近くなら水災、というように住まいに合わせて取捨選択する。

逆に、保険料を下げたくて水災を外した結果、いざ浸水したときに出なかった、という後悔はよくあります。外すなら、自分の土地に水災リスクがないと確認できてから。

マンションと戸建てで異なる保険の考え方

マンションと戸建ては、考え方がまるで違います。マンションは専有部分(自分の部屋の内側)が自分の保険の対象で、共用部分は管理組合が一括でかけているのが基本。

地震保険の対象には、マンションの共用部分も含まれます。ただし共用部分は管理組合の契約側で備えるのが通常なので、個人で重複してかけないよう確認しておきましょう。

戸建ては建物も土地も自分のもの。だからこそ水災や風災まで含めて、補償の幅を広めに考えたほうがいいと私は思います。

保険金が支払われないケースと免責事項

払われないケースを知らずに契約すると、いちばん困ります。代表が「地震が原因の損害は火災保険では出ない」こと。

地震による火災で家が焼けても、火災保険ではなく地震保険の世界です。地震保険に入っていなければ、補償はありません。

このほか、経年劣化による損傷や、故意・重過失による損害は対象外になるのが一般的です。「古くなって雨漏りした」は火災保険では出にくい、と覚えておいてください。

火災保険と地震保険の費用と保険料の決まり方

気になる費用の話。地震保険の保険料は、何で決まるかがはっきりしています。建物の構造と、所在地(都道府県)の2つです。

火災保険と地震保険の費用と保険料の決まり方

保険料が決まる仕組み(建物構造・地域)

鉄筋コンクリートのような燃えにくい・倒れにくい構造は保険料が安く、木造は高くなります。地域は、地震リスクの高い都道府県ほど高い。

具体的な金額は構造区分と都道府県の組み合わせで変わるため、ここで一律の数字は出しません。見積もりで自分の条件を入れて確認するのが確実です。

うれしいのは割引が用意されていること。地震保険には、免震建築物割引・耐震等級割引・耐震診断割引・建築年割引といった割引制度があります。新しい家や耐震性の高い家ほど得です。

地震保険の補償限度額が火災保険の50%である理由

地震保険の保険金額は、火災保険の保険金額の30%〜50%の範囲で設定します。つまり、火災保険で建物2,000万円なら、地震保険は最大1,000万円まで。

「半分しか出ないなんて」と感じる人は多い。でもこれは制度の目的によるものです。地震保険は、家を元通りに建て直すための保険ではなく、被災者の生活の安定に寄与することを目的としています。

つまり当面の生活を立て直す資金、という位置づけ。だから上限が抑えられている。正直、ここを誤解したまま「地震保険は損」と判断するのはもったいないです。

地震保険料控除など税制上の優遇措置

地震保険料控除があり、支払った保険料の一定額を課税所得から差し引けます。

年末調整や確定申告で申告すれば、所得税・住民税が軽くなります。保険会社から届く控除証明書を捨てずに取っておくこと。これだけは毎年忘れずに。

保険金額の適切な設定方法(再調達価額と時価)

金額設定で受け取れる額が大きく変わるのが「再調達価額」と「時価」の違い。

再調達価額は、同じ建物を今もう一度建てるのに必要な金額。時価は、そこから経年劣化分を差し引いた金額です。同じ家でも、時価設定だと受け取れる額がぐっと下がります。

私は基本的に再調達価額で組むことを勧めています。建て直しを想定するなら、時価では足りなくなるからです。証券に「再調達価額」と書いてあるか、一度確認してみてください。

火災保険と地震保険の始め方と見直しの手順

【大震災でも一部損?】地震保険は必要なのか?保険の仕組みを分かりやすく解説【リベ大公式切り抜き】
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では実際にどう始めるか。基本の流れは、火災保険を選ぶ→必要な災害補償を組む→地震保険を付帯する、です。地震保険は単独で入れないので、火災保険とセットで考えます。

加入・解約・更新のタイミングと手続き

加入のタイミングは、住宅の引き渡し日。引き渡し日から補償が始まるように契約するのが鉄則です。

前述のとおり、すでに火災保険に入っていても、途中から地震保険を追加できます。だから「火災保険だけ入ってしまった」人も、今から付け足せます。

更新時は補償の見直しのチャンス。家財が増えた、リフォームした、家族構成が変わった——このタイミングで金額を点検すると無駄が減ります。

複数の保険会社を比較するときの選定基準

比べるべきは火災保険のほう、というのは前述のとおり。地震保険はどの会社でも同じだからです。

火災保険を比較するときの主なチェック項目
比較ポイント見るところ
補償範囲水災・風災などを選べるか、過不足ないか
保険金の支払い基準再調達価額か時価か
地震保険の付帯セットで付けられるか
割引耐震等級・建築年などの割引が使えるか
保険料同じ補償で総額を比較

私はパンフレットだけで決めず、必ず複数社の見積もりを並べます。同じ補償内容にそろえて総額を比べないと、安く見えて補償が薄いだけ、ということが起きるからです。

賃貸住宅で必要になる火災保険・地震保険

賃貸でも火災保険は必要です。建物は大家さんのものですが、自分の家財と、万一の損害で大家さんに負う賠償(借家人賠償責任)に備えるためです。

地震で家財が壊れる不安があるなら、賃貸でも家財の火災保険に地震保険を付けられます。家具・家電を一式そろえた直後ほど、検討する価値があります。

ハザードマップを使ったリスク評価の方法

補償を決める前に、自分の土地のリスクを知る。これが順番として先です。

自治体が公開するハザードマップで、洪水・土砂災害・津波の想定区域を確認します。浸水想定があるなら水災は外さない、津波想定があるなら地震保険を厚めに——というふうに、補償の取捨選択に直結します。

保険金請求の流れと申請時の注意点

いざ被災したとき、慌てないために流れを押さえておきましょう。請求は基本的に自分から動かないと始まりません。

保険金請求の流れと申請時の注意点

請求から支払いまでの流れ

流れはシンプルです。被害が出たら保険会社へ連絡→必要書類を提出→損害の確認(鑑定・現地調査)→保険金の支払い、という順番。

地震保険は損害の程度に応じて区分認定され、その区分に従って保険金が決まります。全損・大半損・小半損・一部損のように段階で判定される仕組みです。

必要書類と準備のポイント

準備しておくと早いのが、保険証券、被害状況の写真、被害を受けた物の一覧です。

特に写真。修理や片付けをする前に、必ず複数の角度から撮っておくこと。片付けてしまうと損害の証明が難しくなります。これは現場で本当によく聞く失敗です。

申請でつまずきやすい注意点

つまずきの典型が「地震が原因なのに火災保険で請求してしまう」パターン。地震・噴火・津波が原因の損害は地震保険の対象です。原因の切り分けを間違えると、請求自体が成り立ちません。

もう一つが、経年劣化との線引き。古くなって生じた不具合は対象外になりやすいので、「いつ・何が原因で」起きた損害かを具体的に伝えることが大切です。

【独自解説】被災事例から学ぶ保険の落とし穴

ここからは、私が相談現場で見てきた「つまずき」を3つ紹介します。制度の数字より、こういう実例のほうが記憶に残ると思うので。

【独自解説】被災事例から学ぶ保険の落とし穴

補償不足で困った失敗例

火災保険に地震保険を付けていなかったお宅。地震で建物にひびが入り、火災保険で請求しようとして「地震は対象外です」と言われ、補償ゼロ。

地震を原因とする損害は火災保険では出ない——この一線を知らなかっただけで、結果が大きく変わってしまいました。

請求が認められなかったケース

屋根の傷みを「台風のせい」として請求したものの、確認の結果は経年劣化と判断され、不払い。

風災と経年劣化の見分けは難しい。普段から定期点検の記録や写真を残しておくと、「これは今回の災害で生じた」と示しやすくなります。

見直しで備えを厚くできた例

逆にうまくいった例。更新のタイミングで、家財の補償と地震保険を追加したお宅です。

前述の割引制度を使えたことで、保険料の上がり幅を抑えながら補償を厚くできました。見直しは、ただ削るのではなく「足すところは足す」が正解だと改めて感じた一件です。

火災保険と地震保険に関するよくある質問

【完全攻略】後悔しない火災保険の選び方|補償はどこまで必要?地震保険は?戸建てのおすすめは?【最新版】
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相談でよく受ける質問を、要点だけにしぼって答えます。

よくある質問

火災保険と地震保険とは?
火災保険は火事・落雷・風災・水災などの損害を補償する民間の保険です。一方、地震保険は地震・噴火・津波を原因とする火災や損壊などを補償する制度で、政府と民間の損害保険会社が共同で運営しています。地震保険は火災保険では補えない地震の損害をカバーするためのもので、単独では契約できず火災保険に付帯します。
火災保険と地震保険の費用は?
地震保険の保険料は、建物の構造と所在地(都道府県)によって決まり、補償内容も保険料もどの保険会社で入っても同じです。免震建築物割引や耐震等級割引などの割引制度があり、条件に当てはまれば安くなります。火災保険のほうは会社や補償範囲で差が出るため、同じ補償にそろえて複数社を比較するのがおすすめです。
火災保険と地震保険の始め方は?
まず火災保険を選び、住まいに必要な災害補償を組んだうえで地震保険を付帯します。加入の基本は住宅の引き渡し日から補償が始まるように契約すること。すでに火災保険だけ契約している場合も、契約期間の途中から地震保険を追加できます。契約前にハザードマップで自分の土地のリスクを確認しておくと、補償の過不足を防げます。

最後にひとつだけ。地震保険を「半分しか出ないから不要」と切り捨てる前に、自分の土地のハザードマップだけは見てください。それだけで、付けるべきか外すべきかの判断が大きく変わります。

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中村 敦子

ファイナンシャルプランナー(AFP) ・ 住宅購入・保険相談の独立系FPとして10年以上の実務経験

FPとして住宅購入相談を数多く受けてきた経験から、火災保険・地震保険の見積もり比較や保険料の仕組みを実務目線で解説します。保険会社のパンフレットだけでなく、実際の契約事例や一括見積もりサービスを自ら試して情報を検証しています。

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